遺言書の書き方について

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遺言書の書き方について

2020/10/19

前回は遺言書の必要性についてお話しました。
今回は遺言書の種類と書き方について説明してみたいと思います。


遺言書には主に次の3種類があります。


1.自筆証書遺言
  遺言者が遺言の全文・日付・名前を自書し、捺印した遺言書


2.公正証書遺言
  遺言者の指示により、公証人が筆記した遺言書に、遺言者・公証人及び2人以上の

 証人が遺言の内容を承認のうえ、各自署名・捺印した遺言書


3.秘密証書遺言
      遺言者が遺言書に署名・捺印のうえ封印し、封紙に公証人及び2人以上の証人が各

 自署名・捺印した遺言書


一般的には、1と2が多く使われている遺言書です。


自筆証書の遺言書は自分1人で自分の思いを書くことができる点が最大のメリットです。
デメリットは決められた方法で作成しなければ、無効になってしまう可能性があることです。日付が記載されていない、所在地等に誤り等があった場合です。
また紛失・偽造・改ざんの恐れもあります。
自筆証書の遺言書は、相続の開始後に家庭裁判所で「検認」(正当な書類であるという印)を受ける必要があります。検認は遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・ねつ造を防止する手続きです。平成31年の法改正によって遺言書に添付する財産目録については自筆でなくパソコン等で作成してもよいことになりました。


また、令和2年(2020年)7月10日施行された「法務局における遺言書の保管等に関する法律」により、自筆証書の遺言書を法務局で保管する制度が創設されました。これは遺言書の紛失・隠匿等の防止のほか、遺言書の存在の把握が容易となり、遺言書によるトラブル防止のためです。法務局に保管することができれば裁判所の検認が不要となります。また、遺言書を撤回・変更する場合も法務局に一定の書式で申請すれば可能となっています。今後、法務局に遺言書を保管するという制度が多く利用されるようになるかもしれません。


次に公正証書の遺言についてお話します。


公正証書は公証人が作成する遺言書で、本人(被相続人)と証人2名が公証人役場に出向き公証人に口頭等で遺言の内容を伝えます。公証人はそれを筆記し、「遺言公正証書」という公文書を作成します。原本は公証人役場に保管され、本人(遺言者)に正本を渡します。証人は利害関係のある人はなれません。信頼できる友人・知人が多いです。費用はかかりますが、遺言書の有効性・正当性は保証されますので、安心・安全という点では一番よいかもしれません。

 

なお、ここで注意しなければならないことがあります。

 

本人(被相続人)の財産を長男に全て相続させる、という遺言書があったとすると、他に相続人がいた場合(次男、長女)、それらの他の相続人全員がそれを納得すればいいのですが、1人でも納得しない場合です。

 

法定相続人の相続できる財産が減少した場合、相続人には原則として本来の法定相続分の2分の1(遺留分という)を請求できる権利があり、これを遺留分減殺請求権又は遺留分侵害額請求権といい、遺言で相続財産を取得できない相続人(ここでは次男、長女をいう)は法定相続分(全財産の3分の1)の2分の1、すなわち全財産の6分の1を請求する権利を有しているという点です。


次回はこの遺留分についてお話したいと思います。

 

下記は遺言書のサンプルです。

 

 

                            遺 言 書

   1.私は私の所有する別紙1の不動産を、長男 青森一郎
   (昭和50年1月15日生)に相続させる。

 

   2.私は私の所有する別紙2の預貯金を次の者に遺贈する。

            住所 ○○県○○市○○町○丁目○番地
             氏名 ○○花子
             生年月日 昭和60年4月10日

 

   3.私はこの遺言の遺言執行者に次の者を指定する。

            住所 ○○県○○市○○町○丁目○番地
             職業 弁護士
             氏名 ○○春蔵
             生年月日 昭和46年6月1日

 


令和2年10月1日
 住所 ○○県○○市○○町○丁目○番地

             青森 太郎   印

 

ちなみに、公証人とは法律の専門家であって、裁判官・検察官・弁護士などの法務実務に30年以上かかわってきた人の中から選ばれ、法務大臣が任命する公務員です。

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