相続人について4
2020/07/16
前回は法定相続を前提にお話ししましたが、今回は相続が開始した時、相続人は相続財産に対してどのような行動をとるのでしょうか。
次の3点が考えられます。
1.遺産分割協議による遺産の分割
2.被相続人の遺言による遺産の分割
3.法定相続分による分割
1については、相続人全員が集まって遺産分割の協議を行い、例えば全財産は長男のAが取得し、長男以外の相続人は全員相続放棄をするという協議が整えば全ての財産をAが取得することができます。
これは遺産分割協議書という書類を作成し、相続人全員の合意に基づいた書類(弁護士又は司法書士に依頼して作成する場合が多い)で、法定相続分は関係なく、相続人同士の話し合いで決める相続財産の分割方法です。
この遺産分割の方法が相続人それぞれが納得する分割方法といえます。
2は被相続人の遺言です。相続が発生した時、遺言書があるかないかということが大事な要件となります。
自筆の遺言書(法律の様式に則り有効な遺言書であることが前提)が出てきた場合は、遺言書に書かれている内容が最優先となります。
例えば相続人である子供(ABC)が3人いて、Aに不動産、Bに預貯金、Cに株券をそれぞれ相続させるという遺言書があれば、これに従わざるを得ません。これは故人の遺志であるので優先すべきです。
但し、法律上はこの分割に不服がある相続人には遺留分減殺請求(法定相続分の2分の1)という請求権が認められており、請求することができます。
3は1の遺産分割協議で相続人同士が話し合いの中で法定相続分で分け合うと合意した場合は問題ないのですが、当協議が不成立の場合、相続人の誰かが裁判所に調停を申し立てて調停という話し合いの場で決めることになります。調停になると時間と費用がかかります。兄弟姉妹が遺産分割問題で罵り合い、兄弟の縁を切る等と感情に走ることはよくあることです。なるべくなら話し合いで解決するようにしたいものです。